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相対性理論 - J+(ジェープラス)‐東大阪市徳連商店街の理髪店です。

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  • 中高生でもスッキリわかる相対性理論の数理(2)(物体って本当に縮むの?)

    作成日2019年08月22日(木)

    前回の「中高生でもスッキリわかる相対性理論の数理(1)」でブラックホールを例に

    エネルギーや質量のある物体が存在すれば、その周りの時空間は歪む❞

    っというお話をしました。

     

    では「時空間が歪む」ってそもそもどういうことでしょう。この「時空間の歪み」を言い換えれば、時と場所ごとに「一様でない」尺度で時空間の伸縮するという意味で捉えることもできます。

     

    相対性理論で、時空間の伸縮とは一体どういうことなのか、これからお話したいと思います。

     

     

    慣性系(動く座標系)って何?

    時空間は位置や時刻を測ってこそ伸びたとか縮んだとかいう話ができます。

     

    空間または時空間において、位置や時刻の測定値を表す仕組みを「座標系」といいます。

     

    相対性理論では、空間の 3 成分 (xyz) と時間の 1 成分 t とを合わせた (t, x, y, z) の 4 成分の座標系(○○系を「System」というので、座標系を S と表すことにします)をあつかいます。

     

    4 成分の座標系ですから 4 次元になります。4 次元ってイメージしにくいと思いますが無理やり図にすると

    時空間イメージです

         図 2.1 時空間て何?(図はイメージです)

     

    っという感じになります。もし「私」が静止していれば、t 軸に平行して連続する「私」があるって感じです。ここでは示しませんでしたが、当然連続する「過去の私」もあるわけです。

     

    ちなみに、(t, x, y, z) の 4 次元座標で特定される時刻と位置を「世界点」といいます。

     

    物理ではおもに運動をあつかうので、座標系が運動する場合も考えます。特に「等速直線運動」する座標系のことを「慣性系」といいます。

     

    等速直線運動とは、速度を変えずに一直線上を進む運動のことです。すなわちまったく加速(アクセル)が生じない運動のことで、速度 0 の静止状態も等速直線運動の特殊例として考えます。またカーブも加速の一種と考えます。なぜなら進行方向とは垂直な方向に速度が加わる(加速する)からです。

     

    静止または等速直線運動する物体は、力が加わらない限り、静止または等速直線運動の状態を保ちます。この性質のことを「慣性」といいます。この慣性はすべての物体に成り立つということをイギリスの物理学者アイザック・ニュートン氏が発見し「慣性の法則」として知られています。

     

    次の 2 つの慣性系の例を考えましょう。地面に対して静止している慣性系と、地面に静止した慣性系の x 方向に速度 v で等速直線運動する電車の中の慣性系です。

     

    慣性系も座標系の一種ですから地面に静止した方の慣性系を S、電車の中の慣性系を S' というふうに表すことにしますね。

      

    慣性系

         図 2.2 相対速度 v の慣性系

     

    S で表す座標を(t, x, y, z)とし S'で表す座標を(t', x', y', z')とします。

     

    (txyz)と (t'x'y'z')との間にはどんな関係があるのでしょうか。

     

    今後の計算をラクにするために S と S' の原点を揃えておきます。すなわち

    初期条件(2.1)

     

    S' x 方向に vtだけ並進するので

    ガリレイ変換 (2.2)

    という関係が成り立つとすぐにわかります。

     

    1 つの世界点に対して慣性系の数だけ異なる座標が決まります。そういう異なる座標どうしの関係式(2.2)のことを「ガリレイ変換」といいます。

     

    しかし、ガリレイ変換のように簡単にはすまされないというのが、これからの特殊相対性理論のお話なんですね。

     

     

    相対性原理と光速度不変の原理

    前の章では地上と電車内の慣性系の例をあげました。

     

    では、この世界に慣性系は幾つあるでしょうか?電車の数だけ?同じ電車でも速度や進む方向を変えれば、その都度新しい慣性系が現れます。

     

    地上の慣性系についても、地球は自転して公転し、太陽系も銀河を秒速 200km 以上で公転しています。

     

    すべての運動速度は、さまざまな慣性系ごとに相対的に異なる値をとるという意味で「相対速度」といういい方をします。 

     

    さて、無数・無限にある慣性系たちの中で、絶対基準となる静止した慣性系って在るんでしょうか?

     

    このような疑問を解決するために 1887 年 米国でアルバート・マイケルソン氏とエドワード・モーリー氏という物理学者によりある実験が行われました(マイケルソン・モーリーの実験)。当時、光は何かの波動であることは知られてましたが、その波動媒質と地球との相対速度を検出するのが実験の目的でした。

     

    波動の媒質とは、波が伝わるために振動するものをいいます。音なら空気、糸電話ならピンと張った糸、池の波紋なら水面にあたります。

     

    結局、この実験では光の波動媒質と地球との相対速度は検出されませんでしたが、次の 2 つのことが判明しました。

     

    ・絶対的基準となる静止した慣性系を定義することはできず、すべての慣性系は相対的なものである。そしてどの慣性系においても同じ物理法則が成り立つ。(相対性原理)

     

    ・どのすべての慣性系で観測しても、真空中の光速度 c は同じ。(光速度不変の原理)

     

     これら 2 つの原理は相対性理論の大前提になっています。

     

     

    光時計と時空間の伸び縮み

    再び SS' の話にもどりましょう。

     

    電車の中の慣性系 S' に「光時計」という装置を設置したとします。どんな装置かというと、間隔 l で設置した合わせ鏡です。この合わせ鏡の間を鏡の面に垂直に光が往復します。光の往復の回数で時間を計るという仕組みです。

     

    光時計

         図 2.3 慣性系 S' で観測した光時計

     

    さて、電車の中 S' でこの光時計を設置して観測したとき 1 回あたりの光の往復時間は t'=2c です。

     

    この電車内に設置された光時計を S で観測すればどうなるでしょうか。 

    運動する光時計

          図 2.4 慣性系 S で観測した光時計

     

    S から観ると光時計は当然速度 v で右方向に運動してます。そのため光の軌道は図のように斜めになります。すると、斜めの軌道の距離 Ll よりも長くなりますよね。

     

    光の片道の時間は L/c ですから、この光の片道で到達する間に光時計が移動する距離は Lv/c 

    になります。このとき「三平方の定理」を使って次の式が作れます。

    光の軌道

    これから S で観測した光の往復時間 = 2L/c が得られます。

     往復時間2 (2.3)

    (2.3) からわかることは、電車内の S' での往復時間 t' を電車の外 S で観測すると 1/√(1-v2/c2) 倍になりゆっくりスローに見えるということです。

     

    動いている慣性系の時間がゆっくりになる、すなわち時間が伸びるというのは、光速度 c が不変であることによる奇妙な結果の 1 つです。

     

    次は、光時計を S' が運動する方向に倒してみましょう。

     

    慣性系 S' において鏡 A を x' = 0 に、鏡 B を x' = l に設置します。

     

    光は鏡 A から出発し鏡 B で反射して再び鏡 A に戻ります。

    光時計横2

         図 2.5 光時計を横倒しにすると

     

    慣性系 S′ で観測すれば光時計との相対速度は 0 なので、光の往復時間は普通に t' = 2l/c になります。

     

    一方、同じ事象を慣性系 で観測したときの光の往復時間 t を求めてみましょう。

     

    運動する光時計横3

         図 2.6 横倒しにした光時計を慣性系 S で観測する

     

    これまでの話と違うのは、合わせ鏡の間隔 l の向きに相対速度 v がともなうということです。そこで相対速度 v のときの合わせ鏡の間隔の長さを l' とし、静止時の長さ l と区別することにします。 

     

     t=0 に鏡 A から発した光が鏡 B に到達するまでの軌道の長さを L1 とします。このとき次の式が成り立ちます。

    ローレンツ収縮11

    よって

    軌道1

     t=L1/c に鏡 B で反射した光が鏡 A に戻るまでの軌道の長さを L2 とします。このとき次の式が成り立ちます。

    ローレンツ収縮2 

    よって

    軌道2

    したがって S で観測した往復時間 t = (L1+L2)/c

    往復時間横

    と S' で観測したそれぞれの往復時間 t と t' を (2.3) に代入すると

    ローレンツ収縮公式(2.4)

    が成り立ちます。

     

    (2.4) 右辺の v を光速度 c に近づけると根号の中が 0 に近づき l' は縮んでいくことがわかります。これが「ローレンツ収縮」という現象です。

     

    現象とはいえ、長さ l' が見せかけで縮んでいるのではなく本当に縮んでいると考えてください。時間も見せかけではなく本当に伸びています。

     

    相対性理論において、そもそも時間と空間は、位置や速度と同様に慣性系ごとに変化するものだと定義しなおすべきものなのです。

     

     

    ローレンツ変換(ガリレイ変換の修正)

    以上、時空間の伸縮が明らかになったからには、(2.2) の「ガリレイ変換」を修正しなければなりません。ガリレイ変換には時間と空間の尺度の変化が表されていないからです。

     

    ガリレイ変換を修正したものを「ローレンツ変換」といいますが、この修正によって時空間の伸縮以外にさらなる不可思議な現象が明らかになります。

     

    慣性系の座標の変換式は 1 次式でなければなりません。何故なら、変換による値の変化が位置や時刻に対して均一でなければならないからです。すなわち、時と場所が変わったくらいでは物理法則は変わらないという意味に基づきます。

      

    相対速度のともなわない座標は変換において不変です。

     

    また、ここでも (2.1) を適用し定数項は 0 とします。

     

    以上の条件から変換式は次のように表せます。

    ローレンツ変換元式(2.4)

     

    では再び光時計の話に戻りましょう。

     

    前章で求まった L1L2l' を図 2.6 中の式に代入してみましょう(図 2.7)。

     

    運動する光時計横4

         図 2.7 図 2.6に代入してみたら

     

    今後必要な式だけ表記しました。

     

    光が鏡 B で反射する瞬間の世界点を慣性系 S' から観測ときの座標は t'=l/c, x'=l です。これと同じ世界点を慣性系 S で観測した座標は = (l/c)・(1+v/c)/√(1-v2/c2),  x=l(1+v/c)/√(1-v2/c2) です。

     

    また光が鏡 A に戻った瞬間の世界点を慣性系 S' から観測ときの座標は t'=2l/cx'=0です。これと同じ世界点を慣性系 S で観測した座標は = (2c)・1/√(1 - v2/c2), = 2l・1/√(1-v2/c2)です。

     

    以上を (2.4) に代入して整理すると

    ローレンツ変換代入

     となります。は計算中に消えてしまいます。

     

    これで a00a01a10a11 が求まりますので (2.4) は

     ローレンツ変換本式(2.5)

    となり「ローレンツ変換」の式が完成します。

     

    オランダの物理学者ヘンドリック・ローレンツ氏は、電磁気学の難しい議論を通して (2.5) とまったく同じ変換式を導出しました。

     

    (2.5) の t' の式の右辺を見ると x の項が含まれています。これはガリレイ変換式 (2.2) と大きく違う特徴です。

     

    Sx 座標が変化すれば S' の時刻 t' も変化します。これは慣性系 S にとって同時刻の事象が、場所が変わるだけで慣性系 S' の観測でば同時刻でなくなるということです。

     

    ここまでの議論のほとんどはアインシュタイン氏による提案は含まれていません。アインシュタイン氏独自の提案はおもに運動力学において展開されます。

     

    中高生でも理解できる相対論のブログをお楽しみいただけたでしょうか。今回は、中学生レベルの数学に何も加えることなく十分理解できる内容だったと思います。

     

    次回の連載記事は、いよいよ相対性理論の運動力学ついて議論したいと思います。

     

    ではお達者で。。。

     

     

     

  • 中高生でもスッキリわかる相対性理論の数理(1)

    作成日2019年05月01日(水)

    ついに始めます!

     

    「相対性理論」を高校生できれば中学生にも理解してもらえる記事を連載させていただきます。相対性理論は聞いたことはあって興味はあるけど理解しづらいという中高生のみなさんのために、丁寧に解説をしていきたいなぁと思っています。

     

    「相対性理論」、略して「相対論」とは、「アルベルト・アインシュタイン」というドイツ物理学者が構築した物理学の理論です。相対性理論には「特殊相対性理論」と「一般相対性理論」とがあります。

     

    大胆にいえば、特殊相対論はニュートンによる古典力学と運動を考慮した電磁気学とが一致するように修正した理論、一般相対論は特殊相対論を重力のある時空間や加速する観測系のために拡張した理論です。 

     

    特に一般相対論は「ブラックホール」や「ビッグバン」などの現代宇宙論につながる提言の基礎となっています。

     

     

     

     今後の連載について

    今回は、ホットな話題となっている「ブラックホール」について大雑把なお話からさせてもらいます。相対性理論といえばやっぱブラックホールですよね!

     

    さらに詳しい話は相対論やその数理的な基礎知識が必要になります。今後の連載を通して、中高生レベルの数学の説明と並行して、ブラックホールの背景となる相対性理論の概念を解き明かしていきたいなぁと思っています。

     

    どうぞ、宜しくお願いいたしますね。

     

     

    そもそもブラックホールって何?

    2019年4月10日、「イベントホライズンテレスコープ」による「ブラックホール」の観測画像が公開されて感動された方も多いと思います。イベントホライズンテレスコープとは、ブラックホールを観測する国際的なプロジェクトのことです。

     

    ブラックホールとは、「一般相対性理論」で予想された天体で、重力崩壊(重い天体が自身の重力により収縮する現象)によって幾何学的に計算不能になるくらい激しい時空間の歪みをつくる天体のことです。しかし、もともとこういう話は、数理的に破綻した特異的な意味にすぎず、予想された当時の物理学者のほとんどはその存在を疑っていました。

     

    ところが天体観測において、その存在の間接的証拠がたくさん見つかり、ついに「直接見れた!」という成果に至ったわけです。

     

     

    一般相対性理論って何?

    結論から説明すると、「一般相対性理論」とはエネルギーや質量のある物体が存在すれば、その周りの時空間は歪むという理論です。

     

    歪みの仕組みをアインシュタインは次のような式で表しました。

    einstein eq2

    これを「アインシュタインの方程式」といいます。

     

    具体的な歪み具合は gνμ で表しますが、これを「計量テンソル」といいます。「計量」とは時空間の尺度という意味を含んでいます。

     

    また「テンソル」とは少し構造をもった代数の仲間だと思ってください。添え字の νμ はラベルで、それぞれ 0~3 の整数をとります。計量テンソルは時空間の座標 x = (x0, x1, x2, x3) の関数なので gνμ(x) と書くこともありますが、普段は (x) を省略します。

     

    ν や μ の添え字は座標に割り振られた番号のことです。特に x0 は時間座標で x0=ct すなわち時間 t に光速度 c を掛けた値を意味します。残りの x1x2, x3 は空間成分になります。ちなみに座標の関数のことを一般的に「場」といいます。

     

    では、計量テンソル gνμ はどんな構造をしているかというと

    metric tensor2

    4×4=16 個の関数の組になっています。高校生の方は「なんだ行列じゃないか」と思われたのではないでしょうか。そうです、行列はテンソルの一種で「2階のテンソル」ともいいます。

     

    Rμν、R は複雑な構造をしていますがいずれも gνμ で表せますので、左辺全体は計量テンソルで表した式になります。

     

    右辺の κ (アインシュタインの重力定数)、c (光の速度)は物理定数で理科年表に載っている値です。Tνμ もテンソルの仲間で、運動量、エネルギー、質量のような力学的な物理量で構成されています。

     

    アインシュタインの方程式に運動量、エネルギー、質量の分布に従って Tνμ に入力してgνμ について解くと、 Tνμ がつくる時空の歪みが求められるというわけです。アインシュタインの方程式は、gνμ という「場」を解とする方程式なので「アインシュタインの場の方程式」といういい方もします。

     

    実際には、人間の手計算で解けるケースはまれで、スーパーコンピューターなどで数値計算で解くのが普通です。

     

     

    アインシュタインの方程式の解としてのブラックホール

    先ほど、アインシュタインの方程式を手計算で解くのはまれだといいましたが、そのまれなケースで典型的なものが「シュワルツシルトの解」です。

     

    シュワルツシルトの解とは、時間に対して変化しない、そして運動量、エネルギー、質量が球対称に分布していて、解の gνμ(x) も球対称だという特殊な条件で解いたものです。つまり、重い球体の天体を考えるのに適してますよね。

     

    球対称な問題を扱う場合、「極座標」という座標を使います。

    Spherical

    原点からの距離(これを「動径」といいます)を rx3 の座標軸との角度を θ、x1x1-x2 平面への投影との角度を φ として (r, θ, φ) を組み合わせて作った座標を極座標といいます。

     

    シュワルツシルトの解の計量テンソル gνμ を極座標で表すと(解き方は後の連載で紹介します)、次式のようになります。

    Schwarzschild metric

    G はニュートンの万有引力定数で、M は天体の質量です。ただし天体の中心を原点とし、動径は天体の半径より大きいとします。

     

    ct は時間成分の x0 のことですが、時間に対して変化しないという条件でしたから右辺の式には ct が含まれてませんね。

     

    sin2θ = (sinθ)2は三角関数という関数の一種です。この関数は、下の図のように x-y 平面において動径 1 の円弧の長さが θ のとき y 軸に投影した長さが sinθx 軸に投影した長さが cosθ という関係の意味です。今回はあまり話の中心ではありませんが、今後の連載に時々出てくると思いますので覚えててください。

     

    三角関数

    ここから注目してもらいたいのは、g00 の ct(時間)成分とg11 の r(動径)成分です。すなわち、

     Schwarzschild metric3

    です。

     

    もし、動径 r を 2GM/c2 の値に近づけると、g00 は 0 に、 g11 は ∞ (無限大)に近づきます。こういう半径 2GM/c2 の特異的な球面では、時間尺度が限りなく伸びて、空間尺度は限りなく縮まります。r2GM/c2の内側領域に事象の影響はありますが 2GM/c2 < rの外側領域には事象の影響(すなわち因果律の影響)がおよびません。

     

    そのため、球面 r = 2GM/c2 は「事象の地平面(Event horizon)」とよばれています。これはイベントホライズンテレスコープの名前の由来になってますね。

     

    天体が自身の重力で圧縮されて、質量のすべてが事象の地平面の内側領域に集中して収まってしまえば、それがいわゆる「ブラックホール」になるわけです。

     

    この話の続きはまた次回の「数理科学の小道」で。。。