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フラクタル次元 - J+(ジェープラス)‐東大阪市徳連商店街の理髪店です。

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  • 非整数の次元ってあるの?(中高生にもわかるフラクタル幾何学)

    作成日2019年01月24日(木)

    あるんです。

     

    次元というと、 2 次元は平面、3 次元は立体というあの次元です。3Dゴーグルや3D音響などは、ゲームやバーチャルリアリティーなどでおなじみかもしれません。3D の D とは次元を意味する英語  "dimension" の頭文字のことですね。

     

    このタグイに 1.58…次元とか 1.26… 次元という非整数(整数でない中途半端な)次元があるということなんです。

     

     

     

     

    ではこれから、整数でない中途半端な次元という「数理科学の小道」をご案内したいと思います。

     

     

      

    まず、次の図形を考えてみましょう。

     

    SierpinskiTriangle5 1

     

     操作 0. 辺の長さが 1 の正三角形を作ります。

     操作 1. 操作 0 で作った正三角形の各辺の中点を頂点とする、辺の長さ 1/2 の正三角形

     を切り抜く。すると、辺の長さが 1/2 の正三角形が 3 個できる。

     操作 2. 操作 1 で作った 3 個の正三角形の各辺の中点を頂点とする、辺の長さ 1/4 の

     正三角形を切り抜く。すると、辺の長さが 1/4 の正三角形が 9 個できる。

     操作 n. 操作 n-1 で作った 3n 個の正三角形の各辺の中点を頂点とする、辺の長さ

     1/2n の正三角形を切り抜く。すると、辺の長さが 1/2n の正三角形が 3n+1 個できる。

     

     

    この操作 を無限に繰り返す( n → ∞ )とどうなるでしょうか。この無限操作でできる図形を「シェルピンスキー三角形」といいます。

     

    このシェルピンスキー三角形という図形の面積は 0 です。1 回の操作ごとに 3/4 倍に減少し、すなわち n → ∞ で √3/2×(3/4)→ 0 になるからです。

     

    面積が無いわけですから、本当にこの操作を無限に繰り返すと画像から消えて真っ白になってしまいます。なので、普通は適当なところで止めたものを作図します(当たり前ですね)。

     

     

    確かに面積は 0 ですが、何も無いわけではありません。ただの点とは違う無限小の正三角形が無限にあるわけです。この残された無限のチリの集まりのような図形、面でもなく点でもなく線でもなさそうなこの図形は一体何なのか。

     

     

     

    こういう疑問に「次元」という切り口で真面目に考えた人たちがいます。その代表的な人物がフィリックス・ハウスドルフというドイツ数学者です。この人物の名を冠した「ハウスドルフ次元」というのがあります。これは、次元の概念として最も万能なものですが少し難しいですね。

     

     

    ここでは、ハウスドルフ次元よりもっとやさしい「次元」について扱ってみましょう。 

     

    相似次元2 1

     

    1 辺の長さが 1 の立方体を 1/2 に縮小したら、この縮小した立方体の体積は元の体積の何分の 1 になるでしょうか。

     

    1/8 になりますよね。

     

     

    ここで次の式を見てください。

    相似次元3

    これは、縮尺 1/2 を D 乗すると 1/8 になるという意味の式です。D=3 なのはすぐにわかると思います( D に 3 を代入してみてください)。

     

    このようにして得られる D の数を「相似次元」といいます。

     

     

    では、同じようなことを 1 辺の長さが 1 のシェルピンスキー三角形で考えてみましょう。

     

    1/2 に縮小したものを色付けしてみました。元の三角形には縮小コピーが 3 個あることに気づきますよね。すなわち、

                                          S(a)

    になります。そして両辺の対数をとります。

    log

    これをていねい計算すると、

    log2

    っということで、中途半端な次元が見つかったことになりますね。

     

    log x (対数)を初めて見てとまどう人は、実際に D≅1.58 を (a) 式に代入してみましょう。

     

    整数でない指数をどう代入したらいいかわからないとき、そうです「平方根」を使うんです。平方根とは 1/2 乗のことだからです。D≅1+1/2+(1/2)4+(1/2)6+(1/2)8=1.58203125 とすると (a) 式の左辺は

    root8

     結構見苦しい計算になりましたが、何となく分母が 3 に近づいていることがわかると思います。

     

    ちなみに、D≅1+1/2+(1/2)4+(1/2)6+(1/2)8+(1/2)9+(1/2)10=1.5849609375 として同じ計算をすると (1/2)D ≅1/2.99999674937 となり、かなり精度が上がります。

     

     

     

    他の例としてコッホ曲線というのもあります。

     

    Koch curve2 1

     

    最初に長さ 1 の線分を作り( n=0 )、それを 3 等分して真ん中を抜き取って、抜き取ったところに長さ 1/3 の線分 2 本使って山を作ります( n=1 )。次に 4 本の線分に対して同様の山を作ります( n=2 )。この操作を無限に繰り返すと右端のコッホ曲線という図形ができます。

     

    コッホ曲線も同じように相似次元を求めることができて = log4 / log3 ≅ 1.26 となります。

     

     

     

    ところで、シェルピンスキー三角形とコッホ曲線には共通するところがあります。それは、まるでロシア土産のマトリョーシカという入れ子人形のようになっていることです。

     

    このように無限な入れ子状態の図形の特徴を「自己相似」といいます。相似次元はこの自己相似という特殊な性質を利用しなければ求まりません。つまり、たまたま求まったということです。

     

    しかし、自己相似な図形でなくても、無限に切り刻まれたり、連結してても無限にクシャクシャに折れ曲がっていたり、整数の次元では扱えない図形がたくさん存在します。こういう一般的な図形について、以前に述べたハウスドルフ次元という概念が必要にります。

     

     

     

    ハウスドルフ次元が適用される例の一つに「マンデルブロ集合」というものがあります。下がその図ですが、スマホのアプリで簡単に計算して描くことができます。マンデルブロ集合とは下の図の黒い部分を指します。詳しい意味については Wikipedia の記事をご覧下さい(特に詳しい意味がわからなくても大丈夫ですよ)。

     

    Mandelbrot2

     

    これも自己相似な図形の仲間ですが、完全な自己相似ではありません。自己相似のようで微妙にそうではないために「準自己相似」といいます。

     

    この図形の輪郭線(境界)の次元を求めるのはとても難解ですが、宍倉光広氏という日本人数学者がそれを成し遂げました。この輪郭線は 2 次元なんです。輪郭「線」なのに 2 次元って不思議ですよね。

     

     

    2 次元とわかったら面積が知りたくなりますよね。しかし、Wikipedia の英文記事を読んで驚いたのですが、面積があるのかどうかわからないんだそうです。

     

    記事には ❝マンデルブロ集合の境界(輪郭)が正値 2 次元ルベーグ測度を持つかどうかわからない。(出典:Wikipedia "Mandelbrot set" より)と記載されています。大雑把にいうと「ルベーグ積分」という少々ややこしい図形の面積でも計算できるやや万能な積分(積分とは面積の計算方法です)があって、それを計算するための「ルベーグ測度」というモノサシがあるのかどうかわからない、っていう意味だと思ってください。

     

    謎はまだまだ続きそうです。

     

     

     

     

    っということで最後は、マンデルブロ集合を発見した数学者、ブノワ・マンデルブロ氏ご自身のお話でお楽しみください。

     

    ちなみに、これまで「次元」といってきた D とは、図形の輪郭や表面の荒さ(roughness)を表す指標としても使われることがあります。2 次元平面内の輪郭線であれば D の値が 2 に近くなるほど荒さや凹凸が激しいという意味になります。マンデルブロ氏のお話を理解するための参考になさってください。

      

    TED2010 ブノワ・マンデルブロ: フラクタルと荒さの科学